いつもの朝に

最近、今邑彩さんの小説にハマっています。


まず、帯に「ミステリー好きはぜひ!」と書かれていた、「ルームメイト」

これは確かに、ミステリーとしてかなり面白いと思いました。

登場人物たちの行動がところどころ安直だなぁと思うところがあり

全体的に共感は得られなかったのですが、

えぇっ犯人この人!?とびっくりして、

読み終わったときに「面白かった!」という満足感があり、また、

犯人の気持ちや主人公の気持ちを考えてちょっと泣きそうになる

「喪失感」?を感じて、私にとってはお気に入りの本になりました。


それから先日読み終えた「いつもの朝に(上・下)」

これは淡々と進んでいてミステリー性も低く、

読み終えたときに「面白かった!」という感覚はなかったのですが、

後半に印象的なシーンがありました。

沙羅が神様に祈るシーン。

沙羅は、牧師の娘でありながらあまり信仰心は強くなく、

両親や姉とは違ってわがままで友達の悪口も言い、

「神様より悪魔の方がかっこいい」とか、

「主の教えに『汝の敵を愛せ』ってあるけどあたしは敵なんか愛せない」

とか言う女の子なんですね。

沙羅が成長するにつれて両親と姉が事件で亡くなり、

夫が事故で亡くなり、

とうとう二人の息子がどこかに消えてしまいます。

そのとき沙羅が神様に祈ります。


神様、あなたは本当に存在するの?

私は確かに悪い子だったよ、でも、

そんなに「悪い子供」だった?

どうしてこんなに酷いことばかりするの?

息子たちを返してくれたらあなたの存在を信じるよ。

お願い、返して。

・・・

・・・

もういい。おまえなんか信じない。

もう祈らない。いないものに祈ったって時間の浪費に過ぎない。

おまえの力を借りずに自分でどうにかする。


この沙羅の思考回路が、すごく共感出来ました。

私も普段、神様のことなんて考えていないくせに、

仕事や何かでつらくてどうしようもないときだけ神様に祈ります。


神様、ごめんなさいごめんなさい、いつも悪い人でごめんなさい、

助けてください、

でも、私って、そこまで悪い人だったっけ?

なんで私にこんなに降りかかるの?

これから頑張るから助けてください、

・・・

・・・

誰も助けてくれない、

もういい、神様なんて信じないから!


って。

そんな、シーン1つにすごく共感出来た、私のお気に入りの小説です。


今、読み進めているのが「そして誰もいなくなる」

これはアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった

をもとにしているようですね。読んだことがないです・・・。

前半で次々に人が殺されて、今、後半の謎解きあたりまで来ました。

ミステリーとしては、なかなか面白いです。

ただ、出来ればこのまま終わらずにもう一回くらい

どんでん返しがあるといいなぁなんて、

自分勝手なことを思いつつ、もう少し読み進めていきます。