忘れ方
私たちは「覚え方」は教わるのに「忘れ方」は教わっていない。
誰か教えて〜・・・なんて、時々思います。
私はオンとオフの切り替えがあまり上手くありません。
これが大好きな物理をやっているときならまだいいんですよね。
卒業研究をやっている頃なんて、
「今日も積分方程式を解く夢を見ちゃった」
「木を見てるとフラクタル次元を思い出しちゃう」
「夢の中でも電流を測定してた」
なんて言っていたけれど、これは物理オタクの自虐ネタのようなもの。
そもそも、物理の教授が言うには、物理は喫茶店でも語り合うくらい好きでないとやっていけない学問だそうで、
私はその条件クリアしてるじゃんと、自慢にさえ思っていました。
しかし、仕事のミスを忘れられずに土日にうじうじ考え込みそうとなると、
どうにかしてオンとオフの切り替えを出来るようになりたいところです。
そして、気づきました。
私は「忘れ方」を知らないと。
家に帰ると仕事のことなんて忘れるよって人、けっこう多いですよね。
どうやって忘れるのと聞いても、だって忘れるんだもんとしか返ってきません。
もちろん私もずっとミスを引きずっているわけではなくて、
友達と遊んだり、ピアノを弾いたり、本を読んだり、ランニングしたりして過ごしている間はそれ自体を楽しんでいるのですが、
心の芯のあたりに黒いものが残っているんですよね。
高校の化学の先生、化学式のゴロ合わせを教えてくれるのなら、ついでに忘れ方も教えてくれれば良かったのに。
世界史の先生も、年号の覚え方を教えてくれるのなら、忘れ方も教えてくれれば良かったのに。
先生の言うことを素直に受け取って学んできたせいなのか、
私の脳みそが「忘れる」という行為を悪と認識しているせいなのか、
どうも上手くオンとオフが切り替わりません。
ただ、帰りの電車でたまたま一緒になった隣りの部署の先輩に
今日出来なかったこととか土日に引きずってしまうこととかを涙目で話したところ、
「興味があるから忘れられないんじゃないの?」って言われました。
そう言われてみると、やっぱり世界史とか政治・経済はすぐに忘れているし、
仕事のミスも、出来るようになりたかったっていう思いがあるから忘れられないわけで。
忘れられるのなら忘れたいところだけど、
忘れられないのならイイ方向に解釈してしまえばいいんだなぁと思いました。