自殺は悪?

「借りっぱなしにしていた本を、週末を使って一気に読み終えました。

今まで漫画しか読んだことがなかったけれど、すごく良かった。

いい本を貸してくれてありがとう。

読む前と後で、上原美優さんのニュースに対する考え方が変わりました。」

と、同期からメールが来ました。


貸していた本は、東野圭吾さんの「手紙」

主人公のお兄さんは、主人公を進学させるお金が欲しくてお金持ちの家に強盗に入り、

住んでいる人に見つかったためその場で殺人を犯してしまう。

当然、刑務所に入れられ、そこから毎月、被害者の家族や主人公に謝罪の手紙を送り続けるが、

その手紙が、主人公の進学、就職、結婚などをことごとく邪魔してしまう。

確か、そんなストーリー。


その話と上原美優さんの自殺って、どう繋がるんだっけ?と、よく分からなかったため、

「どんな風に考え方が変わったの?」と返信しました。


すると、同期はこう言っていました。

「ニュースを見ていたら、上原美優さんのお父さんがマスコミにインタビューされていて、

すごくかわいそうで、マスコミは残酷なことするなぁと思っていた。

でも、あの本を読んだら考え方が変わった。

芸能人の自殺に対してマスコミが群がるのは当然のこと。

悪いのはマスコミじゃない。

お父さんを苦しめているのは美優のせい。自殺した美優が悪い。

美優が自殺したせいでマスコミが群がってお父さんがかわいそうなことになっている。

本人が死んで、はい終わりで済む話じゃない。」


・・・なるほど。


「手紙」の中で、主人公は

「自分は何もしていないのにこんなに苦しめられる。

兄貴が強盗殺人を犯したのは元々は俺のためだけど、

でも、悪いけどもう兄貴との縁を切りたい」

と考えるのですが、

就職先の工場の社長さんから

「殺人を犯した人の家族というだけで世間が距離を置きたがるのは当然のこと。

そんな家族の苦しみも含めて、殺人犯が受ける罰なんだ。

殺人犯の家族は世間から差別されて苦しまなければならない。

殺人が悪であることを世間に知らしめるために。」

と言われるシーンがあります。

このシーンが繋がったのでしょうね。


なるほどね〜と、同期の考え方には納得したのですが、

共感はしませんでした。

「自殺」が悪いことなのかどうか、私ははっきりと自分の考え方を持っていません。

・この世が合わないからこの世にいるのをやめる。それだけ。

・就職しよう、進学しよう、という選択肢と同じように、生きよう、死のう、という選択肢があってもいいと思う。

・自殺はたくさん迷惑をかけるけど、これから何十年も生きて、人にかける迷惑の量を全部合わせたら、同じくらいだと思う。

などなど、自殺したって別にいいじゃないっていう考え方も持っているのですが、

こういう考え方って、昔、友達が亡くなったときにそれを受け入れるために作り上げた考え方のような気もするんですよね。


人が一人、いなくなったときの悲しさって、

「自殺は悪!」って言えるほど元気なものではないです。


だから私は「自殺は悪いこと、とは言わないけれど、悲しいから出来ればしないで欲しいなぁ・・・」っていう考え方です。


ところで、ニュースに対するコメントで、興味深いものがありました。

「『生きたくても生きられない人がいるのに自殺なんてとんでもない』って言う人がいますが、

うつ病とか精神的な不安定で自殺する人だって、

病気とか事故とかで亡くなる人と同じように

『生きたくても生きられない人』なんですよ」

と。

これもこれで納得・・・。

自殺に関する考え方って、本当に色々ありますね。