現実感

先日、会社の先輩夫婦のマンションに遊びに行きました。

15階建てのでかいマンションの15階、びっくりしました。


外から見て大きさにまずびっくりし、

入り口で部屋番号を押して呼び出して開けてもらう、これは時々見かけたことがあるのですが、

中に入るとホテルみたいに広くてびっくりし、

15階までエレベーターで上がると夜景がきれいで風が強くてびっくりし、

先輩の部屋までが遠くてその広さにびっくりし、

中に入ったら壁も床も真っ白で綺麗で、部屋がたくさんあってびっくりしました。


私は高校まで実家の一軒家で暮らしてきて、

上京してまず幽霊の出るボロボロの寮の6畳の部屋で暮らして、

寮を出てからは2〜3階建てのアパートのワンルームの部屋で暮らしています。

大学の頃に同棲していた先輩カップルの広い部屋に遊びに行ったことはあるのですが、

でかいマンションに入れてもらったのは今回が初めてでした。

先輩の部屋のベランダの大きさと、私の部屋の大きさが同じくらいという(笑)。


わけもなく部屋の中を歩きまわって、手料理をご馳走になって、

でかいテレビを見てのんびりして、帰ってきました。


私もそのうち結婚したらあんなでかい部屋で暮らすのかなぁってわくわくしつつ、

でもちょっと不安になってしまったんですね〜。


実家に住んでいた頃はよく、ひょいひょいと庭に出て遊んでいました。

庭を半分に分けて父と祖母がそれぞれ野菜と花を育てていました。

庭の花を摘んで部屋に飾ったり、きゅうり、トマト、苺などを取ってこぼしながら食べてヘタを畑に投げたり、

生ゴミから肥料を作ったり、落ち葉を集めたり、かまくらを作ったり、

葉っぱをすり潰したり、葉っぱで指を切ったり、かぶれたり、

花の蜜を吸ったり、さくらんぼや栗を収穫したり、

蟻の巣に砂糖をかけたり、砂で埋めたり、毛虫が落ちてきたり、

トンボのシッポに糸を結んだり、ダンゴ虫を丸めてたくさん手の上に乗せたり、

(ダンゴ虫が起き上がってワラワラと手の上を歩き出すんです、今思うと気持ち悪い。)

夜に電灯を点けて蛾が集まってくるのを見たり、

いつの間にか近所の猫がウチの台所にいたり、

父が木で作ってくれた小鳥用の餌台にパンを乗せて小鳥が来るのを待ったり、

キジの足跡を見つけたから、キジを捕まえるための落とし穴を掘ったり、

庭でバーベキューや花火したりテントを張って泊まったりビニールプールを出して泳いだり、

道路に石で落書きしたり、

近所の家の門を勝手に開けたら犬が逃げ出して追いかけられたり、

親に怒られて庭に放り出されたり、

友達と庭で座り込んでおしゃべりしていたら親が二階の窓からお菓子を落としてくれたり、

庭から二階の窓に向かって雪玉を投げたり、

そうやって育ってきたんですよね。


都会のでかいマンションとか夜景とかビルとか、そんなのも私は大好きで、

帰省したあとに新幹線で東京に戻ってくるとわくわくします。

でも、その中でいつか自分が子供を産んで育てることを考えると、

外に出るのが億劫で部屋に引きこもってゲームをして、

いつか殺人でも起こすような子供になってしまうのではないかと。

「現実感」がないというか。


不安になって彼に話してみたんです。彼も田舎生まれなのでその気持ちは納得してくれて、

「でもこっちで産まれてこっちで育つ人はこっちが現実でしょ」と。


あぁ〜、なるほど。

そういえばその先輩も、東京生まれ、東京育ちで、

ベッドタウン育ちだから、一軒家に住む自分が想像出来ない、現実味がない、

旦那さんが一軒家育ちだから結婚するときは不安だったけど

マンションで暮らせて良かった、

と言っていました。

ただ旦那さんの趣味で部屋の中は観葉植物がいっぱいで、水槽で何かイロイロ飼っていました。


結局、ありきたりな結論になってしまうのですが、

環境の影響はあるけれど生き方とか育て方とか暮らし方とか、

その人自身の問題だなぁと。

私は田舎も都会もどっちも大好きで、どこでも生きていける、

きっと、不安になることなんかないんだー!と思いました。